コラム

真美のコラム

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真美のコラム

税務・税金というと難解な専門用語が多くて堅い内容になりがちですので、このページでは、税務・税金のこと、旬の話題、私が思ったことなど、むずかしい用語もわかりやすい表現で、つれづれなるままに掲載していこうと思います。

小学校の「租税教室」に
学ぶ

私が、国税庁主催の「小学生向けの租税教室」の講師を担当して6年になります。
この授業は、おもに小学6年生の生徒さんに、
「税金って何だろう?」
「税金は、どのように使われているのだろう?」
「税金がなかったら、どうなるのだろう?」
といった内容を、ビデオなどを使って説明して、"未来の納税者"に対して税金の正しい理解を促すことが目的のプログラムです。
 
当初、私は「これはある種の"洗脳教育"ではないか?」との懸念もありましたが、最近では「小さい頃から税のことを知るのは大切で、日本の未来にとっても重要な教育だ」と考えるようになり、このプログラムに真剣に取り組んでいます。
税理士をしていて思うのは、世の中には「税金が嫌いで、どうしても納めたくない人」と「好きではないけれど、ある程度割り切って納めている人」がいて、「どうしても納めたくない人」には、税金は利益に応じて平等に決められたものであって損得ではないということを、どんなに説明しても(税金への)嫌悪感を払拭することは難しいということです。
 
この「租税教室」では、税金を納めることで、家庭ゴミを収集してもらえたり、緊急時に消防車や救急車のお世話になれたり、整備された公園で自由に遊べたり、毎日、楽しく学校に通えたりできるんだということ、すなわち税金とは「社会共通の費用をまかなう会費」のようなものだと伝えています。
 
まさにその通りで、私たちは嫌でも税金の恩恵を受けて日常生活を送っています。「大人になって働いて稼げるようになった時に、利益の一部を社会に還元する」という仕組みは(私は)それほど不条理なことではないと思っているのですが、いかがでしょう?
また、最近ご相談が増えている「相続税」で例を挙げると…親が亡くなって、5,000万円の価値の資産を兄弟2人で相続する場合には、5,000万円から4,200万円の基礎控除を差し引いた800万円に対して10%(=80万円)の税金がかかります。5,000万円を稼ぐのは、もちろんたいへんなことですが、80万円の税金を納めることで、それが正式に自分たちのものになるということに対して「一般庶民から税金を取ってけしからん!」と考えるか「安心できて、ありがたい」と考えるかは、その人しだいです。
 
ニュースで汚職問題などがクローズアップされると「もう税金なんか絶対に払いたくない」と思う気持ちも良くわかります。ただ私は、物事すべてそうであるように、ごく一部の悪いことだけに目を向けて全部を拒絶してしまうのでなく、良い部分にも目を向けられる"許容量"を、いつも持ち合わせていたいと思っています。税金は、とても身近なものですから、ストレスをためることなく上手に付き合っていきたいですね。

「後妻業の女」に学ぶ!?
税務上のポイント

現在、大竹しのぶさん主演の映画「後妻業(ごさいぎょう)の女」が公開されています。この映画では、前妻に先立たれて結婚相談所に登録している資産家老人を狙って後妻に入り、公正証書の遺言を書かせて、遺産を相続することを業(なりわい)としている恐ろしい熟年女性・武内小夜子と、それを裏で操る結婚相談所長・柏木享(この役は、イケメン俳優・豊川悦司さんが演じています)の、金と欲にまみれた人間模様が描かれた映画です。
先日、私はこの映画の原作「後妻業」(黒川博行さん著)を読みました。フィクションでありながら、父親の死と遺産相続における娘たちの困惑や、遺産相続の手続きのことなども、けっこうリアルに描かれてる、おもしろい小説でした。そこで私は税理士の立場から、この小説から学べる(?)税務上のポイントを、3つ紹介してみます。

内縁の妻に、相続権はあるのか?

ストーリーのなかで主人公・小夜子は、複数の資産家老人をダマして遺産を相続しています。その手口は、ある時は籍を入れた本妻として、またある時は、籍は入れずに内縁の妻という立場で「相続権」を行使しているのですが、この「内縁の妻」には、法的相続権はあるのでしょうか?
民法が定める法定相続人は「配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹」となっていますが、これはあくまで法律上の配偶者・親子・兄弟姉妹の関係にある人を指していて、事実上の婚姻関係などは含まれていません。したがって、内縁の妻には法的な相続権はないのです。

公正証書遺言の威力は絶大!?

では、小夜子は「内縁の妻」であったにもかかわらず、どうして多額の遺産を受け取ることができたのでしょうか?
そこでポイントとなるのが「公正証書遺言」です。遺言であれば、法定相続人以外の人に自分の財産を遺贈することができるのです。しかも公正証書遺言は、公証人という第三者を通じて作成しますので、要式上の不備はあり得ませんし、自筆遺言のように「本物か、偽物か」という議論の余地もなく、また、破棄・隠匿・改ざんされるリスクもありません。したがって、その有効性が否定されることは、ほとんどありません。
小夜子は、資産家老人の身の回りの世話をろくにしないにもかかわらず、公正証書遺言を書かせてしまい、この公正証書の遺言の効力を逆手に取って「内縁」という法的根拠の薄い事実を最大限に利用して、遺産のほぼ100%を自分に遺贈させるように巧みに段取りをしています。

相続人には最低限の相続財産がある!

それならば、(この物語のように)ある日突然現れた内縁の妻が「公正証書遺言」を振りかざして、親の財産のほぼすべてを強奪していくなどという事態を(法定相続人である)娘たちは、ただ黙って受け入れるしかないのでしょうか?
答えは、否! 法律上、法定相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限度認められる相続分(各相続人の法定相続分の2分の1)があります。この遺留分が侵害されるような場合には、相手に対して(この遺留分を受け取るための)「遺留分減殺請求」ができます。そしてそれが相続人間での話し合いで解決できなければ、家庭裁判所での調停、それでも解決しなければ裁判ということになります。
小説のなかでも、この「遺留分」を侵害された次女が、同級生の弁護士とタッグを組んで裁判に持ちこむ意思をチラつかせることによって、(過去の数々の不審死の実態が発覚することを恐れる)小夜子に、推定の遺留分を返済させる約束を取り付けることに成功しています。